昭和38年10月、第10回東京モーターショーが開催された。
ここでいすゞ自動車は同年6月に発表になったばかりの1500cc
級サルーン・ベレットをベースとして設計された4座スポーツクーペ・ベレット1500GTを試作品として発表しました。
ショーに出品してあったスポーツカー・プロトタイプの中ではデザイン的にもっとも現実性があり、このまま生産化してもおかしく
ないほどだった。
モノコック・ボディのフロアユニット、サスペンションはベレットと基本的に共通であり、それどころかルーフを除いた
ウエストラインから下のボディシェルまで(むろんドアは異なるが)ベレット・サルーンと同じプレスを使っていた。
サスペンションはいうまでもなく全輪コイルによる独立式である。
フロントはダブルウィッシュボーンタイプ、リヤはコルヴェアに酷似したセミ・トレーリングAアームが固定長のスウィングアクスル
を支え、急旋回の際内側のタイヤが浮き気味になるのを防ぐために、横置一枚リーフのコンペセイターが付加されている。
ホイールベースは2350・全長3990・全巾1495全高1300mm、エンジンはベレットの1471にツインSUをつけるなど
して80HP/6000prm、11.3mkg/4000rpm(標準は63HP/5000rpm、11.2mkg/1800rpm)
の高速トルク型にチューンされている。4速ギヤボックス、ファイナルのギヤ比は不明だが、タイヤは乗用車より径の大きい5.60−
14が用いられている。公表された性能はトップスピード160km/h、登坂能力0.406sinθである。ベースになったベレット
が非常に良い操縦性を持つ車だけに、このGTの綜合的な走行性はかなり高いものと評価された。