製造が中止されてから26年もの歳月を経た現在でも、根強いファンに支えられ続けている、いすゞ・Bellett。 独特な雰囲気を醸し出すそのスタイルは、沢山のファンを魅了してきたことでしょう。

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いすゞベレットの誕生
誕生秘話
発売背景と特徴
新たなる挑戦
1600GT遂に登場
シリーズ化
いすゞベレットの変革
いすゞベレットからジェミニへ
いすゞベレット〜エピローグ
CGで蘇る「ベレットGEMINI」


昭和39年4月6日、いすゞ自動車からベレット1500セダンをベースにした本格的なスポーツクーペ・ベレット1600GTを 97万円で発売すると発表された。1600GTはこのクラスのものとしては国内で一番早く作られている。 2ドア、2+2座クーペ、ボディのプレスはドア・ルーフを除きセダンと共通だが、車高は40mm低く1350mmしかない。 エンジンはベレット1500を基礎として新たに開発された1579cc(83×73mm)で、シリンダーヘッドは軽合金製圧縮比は 9.3。キャブレターは標準がSUタイプ2個で、別にレース仕様としてダブルチョークのダイヤフラム型2個が準備されている。 連続高速回転に備えて、クランクピン径はベレット1500に較べて太く、カラムシャフトベアリングの数も6個に増して 動弁機構の剛性を高めてある。フライホイールも軽量化され、加速性を向上させている。 昨年秋の東京モーターショーにベレットGTが発表された時(その時は1500GT)、観覧者は中央のベレットよりも遠慮がちに隅に 置かれたベレットGTの方に多かった。スタイリングを欧米のデザイナーに依頼したというスポーツカーやツーリングカーがかなり展示 されていたショーであったが、それらと比較してもく遜色のない純日本デザインのベレットGTは好評そのものであった。 ベレットGTの特徴は、セダンをスポーツ化することだけでなく、ボディ・内装までスポーティに手を加えたこと。 クーペにされたベレットのタマゴのボディは見るからに精悍で、スポーツマンのパーソナルカーとしての雰囲気を持っている。 しかしベレットGTのようなGTは、オープンボディのものと違い、本来ヨーロッパ大陸の長距離旅行に便利な公道上の 高速ツーリングに属している。グランド・ツーリング(大旅行用車)の諸元にあるように、あらゆる天候にも耐えられる快適な居住性は セダンのものより優れている。全体に英国調の感じが強く、それに合わせたカントリー・ドライビングをするのもこの ベレット1600GTの楽しみのひとつといえる。

エンジン
ベレットGTのエンジンは、ベレット1500のものを性能本位にチューニング・アップしたもので、市販用としてはかなりハイ・ チューニングに属する。圧縮比も9.3と高く、SU型(日立HJD38W)のキャブレターをツインにしアルミヘッドを採用して 88PS/5400rpmの出力をもっている。このエンジンの特徴はトルクが広いレンジにありそれもエネルギッシュなレスポンスとなって反応する。


極端な言い方では2000rpmから6000rpmまで各ギアとも充分な加速力をもち、低回転では普通のセダンと変わらない使い方 が出来る。ベレットのエンジンは国際級レベルの性能で、ダッシュのきいた走行、17.5キロ/リットルと低い燃費消費など、 優れた経済性と高性能が実証された。

主要諸元表
諸元 車型
ベレット1600GT
(PRO90)
寸法
車両全長 4005mm
車両全巾 1495mm
車両全高 1350mm
ホイールベース 2350mm
トレッド(前輪) 1220mm
トレッド(後輪) 1195mm
最低地上高 215mm
客室内側長さ 1510mm
客室内側巾 1240mm
客室内側高さ 1060mm
重量
車両重量 940kg
乗車定員 4名
車両総重量 1160kg
性能
最高速度 160km/h
登坂能力(sinθ) 0.405
最小回転半径 5000
エンジン
名称 ガソリンG160
型式 水冷4サイクル
シリンダー数 直列頭上弁式
内径×行程 4-83×73
総排気量 1579
圧縮比 9.3
最高出力 88/5400
諸元 車型
ベレット1600GT
(PRO90)
最大トルク 12.5/4200(kgm/rpm)
気化器 ダイヤフラム型または定負圧型 2個
充電発電機 12-300(V-W)
始動電動機 12-1(V-kW)
長×巾×高 751×602×648(mm)
重量 139kg
蓄電池 12-40(V-AH)1個
燃料タンク容量 40リットル
冷却水容量 6リットル
クラッチ 乾燥単板式ダンパ付(機械操作式)
変速機 2.3.4速シンクロメッシュ式
変速比
第1速 3.444
第2速 2.133
第3速 1.387
第4速 1.000
後退 4.593
減速装置 ハイポイドギヤー
減速比 3.778(34/9)(*4.111(37/9))
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後車軸 独立懸架(ダイヤゴナルリンク式スイングアクスル)
前車軸 独立懸架(ウィッシュボン型)
タイヤ 5.60-14-4P(*5.60-13-4P)
シャーシばね 前:コイルスプリングスタビライザ付
後:コイルスプリングと横置板ばね併用
ショックアブゾーバ 筒型油圧複動式(前後共)
操向装置・ブレーキ装置 ラックピニオン式
フレーム 口型サイドメンバー付き一体構造

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