いすゞベレットは発表以来、その独特の美しいスタイルと優れた加速性、全輪独立懸架による乗り心地、
ロード・ホイルディングの良さなどから多数の支持を戴き、また国外においてもいち早く注目されていた。
この長所をベースとし、更に研究改良を加えまた来るべき貿易自由化に備えいすゞ自動車ではショーを機会に
全乗用車に変更を加え、ベレットに2ドアモデルを加えると共に1300シリーズ、スポーツクーペ・シリーズ、
エキスプレスバンを新設した。
ベレットの基本型であるベレット・1500は従来のスタンダードを癈して4ドアと新設の2ドアのみとなった。
但し、特殊な需要に応じるため4ドアに限りシングル・ヘッドランプのベレット・1500スタンダードも生産された。
外観上各部のエンブレムが異なるが、一目で旧型と区別するのは困難だった。
いすゞ・1500がすべてデラックス仕様になったのに対し、新しいベレット・1300はすべてスタンダード仕様の
2ドアと4ドアで登場した。全輪コイルの独立懸架をもったモノコックのボディシェルはベレット・1500と共通だが、
内外のフィニッシュはずっと質素でヘッドライトもシングルで新しいデザインの異なったグリルをもつ。
エンジンは過去1年間小型トラックのワスプに用いられたものでベレット・1500のストロークをそのままにボアを短縮した
1325ccである。
ベレットのスポーツクーペ・シリーズは新たに3種類になった。最も高性能なのは本年4月に発表されたベレット・
1600GTの改良型である。新型で特筆されることはフロントにダンロップ住友のディスク・ブレーキが標準装備になったことで、
リアもアルフィン・ドラム・リーディング・トレーリングになった。ベレット・1600GTに次ぐのは昨年のモーターショーに
出品されたのと基本的に同一のいすゞ・1500GTである。燃料燃費率はいすゞ・ベレット1600GTより大幅に優れていた。
但し、フロントのディスク・ブレーキはオプショナルでユニ・サーヴォ・ドラムが標準であった。
最もおとなしいのはいすゞ・1500クーペでいすゞ・1500のエンジン、ギアボックスをそっくりクーペのボディに移したもの。
ダッシュにもタコメーターやセンターコンソールの各種メーターは付かず、ステアリング・ホイールとシートがGTと共通なだけ。
重量は925kgでいすゞ・1500デラックスの4ドアと2ドアの丁度中間。性能的にも変わりはない。
尚、クーペのボディはすべてデュアル・ライトを癈して内側にフォグ・ランプをもったシングルになった。
出揃ったいすゞ・ベレットシリーズ